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「ナスはちょっと…苦手なんです」
2025年08月04日(月)14時

控え室で荷物を片づけていたら、出勤してきた女の子が小さな紙袋を持って現れた。
「ゆる助さーん、おすそ分けです。八百屋でいっぱいもらっちゃって」
中には艶のあるナスが数本。キレイに並んでる。
「うわ、ありがとうございます。でも……ナス、僕ちょっと苦手なんです」
って、思わず口が先に出てしまった。
一瞬、空気が止まる。
彼女はナスを見て、僕を見て、もう一度ナスを見てから、口元をゆるませた。
「え、え〜、見た目めっちゃナス食べそうなのに〜!」
「え、どういう見た目ですかそれ」
ちょうど隣で飲み物の補充をしていた子が聞きつけて加勢してくる。
「確かに、ナス味噌とかめっちゃ似合いますよね」
「なんか実家の台所っぽい味って感じの人ですよね」
なんかの雰囲気でそうなってるらしい。
「いやいや、食べるのは苦手なんです。皮のあの……噛んだときのキュッていう感じが」
「うわ、それわかるーって言いたいとこだけど、全然わからん」
「そもそもキュッってしてます? ナス」
「キュッとします。ちょっとだけ」
「ちょっとだけ、って……それでアウトなんですか」
なんだかんだと笑われつつ、別のスタッフが「じゃあ私もらっていいですか?」と手を挙げてくれて、ナスは無事引き取られていった。
袋が空になって、「助かった……」と心の中で思っていたら、渡してくれた女の子がニヤッとこっちを見て、
「次はピーマン攻めにしますね」
と言い残してロッカーへ向かった。
……苦手な野菜、あまり気軽に言わないほうがいいかもしれない。
その日の夜も、特に変わったことはなかったけど、
ああいう他愛のないやり取りがあるだけで、なんだか1日が少しあたたかくなる気がする。
「ゆる助さーん、おすそ分けです。八百屋でいっぱいもらっちゃって」
中には艶のあるナスが数本。キレイに並んでる。
「うわ、ありがとうございます。でも……ナス、僕ちょっと苦手なんです」
って、思わず口が先に出てしまった。
一瞬、空気が止まる。
彼女はナスを見て、僕を見て、もう一度ナスを見てから、口元をゆるませた。
「え、え〜、見た目めっちゃナス食べそうなのに〜!」
「え、どういう見た目ですかそれ」
ちょうど隣で飲み物の補充をしていた子が聞きつけて加勢してくる。
「確かに、ナス味噌とかめっちゃ似合いますよね」
「なんか実家の台所っぽい味って感じの人ですよね」
なんかの雰囲気でそうなってるらしい。
「いやいや、食べるのは苦手なんです。皮のあの……噛んだときのキュッていう感じが」
「うわ、それわかるーって言いたいとこだけど、全然わからん」
「そもそもキュッってしてます? ナス」
「キュッとします。ちょっとだけ」
「ちょっとだけ、って……それでアウトなんですか」
なんだかんだと笑われつつ、別のスタッフが「じゃあ私もらっていいですか?」と手を挙げてくれて、ナスは無事引き取られていった。
袋が空になって、「助かった……」と心の中で思っていたら、渡してくれた女の子がニヤッとこっちを見て、
「次はピーマン攻めにしますね」
と言い残してロッカーへ向かった。
……苦手な野菜、あまり気軽に言わないほうがいいかもしれない。
その日の夜も、特に変わったことはなかったけど、
ああいう他愛のないやり取りがあるだけで、なんだか1日が少しあたたかくなる気がする。