店長ブログ (100件)
「敬語の行き先」
NEW 2025年08月21日(木)20時

夕方の事務所。
電話対応を終えたばかりのゆる助は、机の上で書類を整えていた。
「はい、19時に△△ホテルで承ります。ありがとうございます」
電話を切る瞬間まで、姿勢はまっすぐで声も丁寧。
受話器を置くと、ふぅっと小さく息を吐き、ほんのり表情を緩めた。
そのとき――カラン、と事務所のドアベルが鳴る。
宅配便のお兄さんが段ボールを抱えて立っていた。
「お届け物でーす!」
ゆる助は反射的に立ち上がり、胸を張って答えた。
「はい、△△ホテルで承ります!」
……一瞬の沈黙。
宅配のお兄さんが「え?」と首をかしげ、段ボールを持ち直す。
横で書類を見ていた先輩スタッフは吹き出しそうになり、肩を揺らしている。
ゆる助は自分の口から出た言葉に気づき、耳まで赤くなった。
「あっ、す、すみません! えっと…ありがとうございます!」
深々とお辞儀をして段ボールを受け取る。
荷物を机に置くと、先輩がニヤリと笑って言った。
「お前、仕事熱心すぎて、宅配便まで予約取りそうやな」
「いや…その、完全に電話モードが残ってて…」
「次来たら“2時間コースでお願いします”とか言うんちゃうか」
その場にいたスタッフ全員が笑い、事務所は一気に和やかな空気に包まれた。
ゆる助は頭をかきながら「次こそは間違えないようにします」と真顔で宣言したが、
その表情がまた面白くて、先輩たちはさらに笑いをこらえきれなかった。
夜の業務が始まる前のちょっとした出来事。
小さな笑いのおかげで、事務所の空気は軽く、心なしか仕事もスムーズに進んだのだった。
電話対応を終えたばかりのゆる助は、机の上で書類を整えていた。
「はい、19時に△△ホテルで承ります。ありがとうございます」
電話を切る瞬間まで、姿勢はまっすぐで声も丁寧。
受話器を置くと、ふぅっと小さく息を吐き、ほんのり表情を緩めた。
そのとき――カラン、と事務所のドアベルが鳴る。
宅配便のお兄さんが段ボールを抱えて立っていた。
「お届け物でーす!」
ゆる助は反射的に立ち上がり、胸を張って答えた。
「はい、△△ホテルで承ります!」
……一瞬の沈黙。
宅配のお兄さんが「え?」と首をかしげ、段ボールを持ち直す。
横で書類を見ていた先輩スタッフは吹き出しそうになり、肩を揺らしている。
ゆる助は自分の口から出た言葉に気づき、耳まで赤くなった。
「あっ、す、すみません! えっと…ありがとうございます!」
深々とお辞儀をして段ボールを受け取る。
荷物を机に置くと、先輩がニヤリと笑って言った。
「お前、仕事熱心すぎて、宅配便まで予約取りそうやな」
「いや…その、完全に電話モードが残ってて…」
「次来たら“2時間コースでお願いします”とか言うんちゃうか」
その場にいたスタッフ全員が笑い、事務所は一気に和やかな空気に包まれた。
ゆる助は頭をかきながら「次こそは間違えないようにします」と真顔で宣言したが、
その表情がまた面白くて、先輩たちはさらに笑いをこらえきれなかった。
夜の業務が始まる前のちょっとした出来事。
小さな笑いのおかげで、事務所の空気は軽く、心なしか仕事もスムーズに進んだのだった。
「メモの迷子」
2025年08月20日(水)17時

夕方の事務所。
電話での予約を受けたゆる助は、ホテル名と時間をしっかり聞き取り、メモ用紙に書き込んだ。
「はい、では19時に△△ホテルでお待ちしております。ありがとうございます」
電話を切り、ほっと息をつく。
(よし、大丈夫だな…)
安心してパソコンに入力しようとしたが――机の上に置いたはずのメモが見当たらない。
「えっ…?」
慌てて引き出しを開けたり、キーボードの下を覗いたり、コピー用紙の束をめくったり。
ついには椅子から立ち上がり、床まで確認し始めるゆる助。
そこへ先輩スタッフが横目で見て、ニヤリと笑う。
「お前、何探してんの?」
「すみません…さっき書いた予約のメモが消えてしまって…」
先輩が指差したのは、ゆる助の左手。
そこには、しっかりと“△△ホテル 19:00”と書かれたメモが握りしめられていた。
「……あっ」
自分の手を見て、耳まで真っ赤になるゆる助。
「大事すぎて“手放せなかった”んやな」
先輩のひと言で、事務所に小さな笑い声が広がった。
電話での予約を受けたゆる助は、ホテル名と時間をしっかり聞き取り、メモ用紙に書き込んだ。
「はい、では19時に△△ホテルでお待ちしております。ありがとうございます」
電話を切り、ほっと息をつく。
(よし、大丈夫だな…)
安心してパソコンに入力しようとしたが――机の上に置いたはずのメモが見当たらない。
「えっ…?」
慌てて引き出しを開けたり、キーボードの下を覗いたり、コピー用紙の束をめくったり。
ついには椅子から立ち上がり、床まで確認し始めるゆる助。
そこへ先輩スタッフが横目で見て、ニヤリと笑う。
「お前、何探してんの?」
「すみません…さっき書いた予約のメモが消えてしまって…」
先輩が指差したのは、ゆる助の左手。
そこには、しっかりと“△△ホテル 19:00”と書かれたメモが握りしめられていた。
「……あっ」
自分の手を見て、耳まで真っ赤になるゆる助。
「大事すぎて“手放せなかった”んやな」
先輩のひと言で、事務所に小さな笑い声が広がった。
「スーパーでの攻防」
2025年08月19日(火)15時

日曜の夕方。
事務所は定休日。ゆる助は、Tシャツにスウェットというお馴染みの格好で、近所のスーパーへと歩いていた。
「今夜は…カレーでいいかな…いや、シチューもいいな…」
誰もいない道を歩きながら、ポツリポツリと独り言。
けれど、店の入口が見えてくると、表情を引き締めて歩き方も少し丁寧になる。人の前ではきちんと、が彼の習慣だ。
店内に入ると、買い物かごを手に真面目な顔で野菜売り場へ。
「失礼します」
カゴを持ったまま、買い物中の年配の女性に軽く会釈をして横を通る。
その後、にんじん・じゃがいも・玉ねぎをカゴへ入れると、再び独り言が漏れる。
「これで…カレーは形になるな。でも肉どうしようかな…鶏でいいか…」
精肉コーナーで鶏もも肉を手に取り、「よし」とうなずいた瞬間。
横にいた小さな男の子がじっとゆる助のかごを見て、思い切りのいい声を上げた。
「おじさん、それだけで夜ごはんなの?」
「えっ…」一瞬固まるゆる助。
慌てて笑顔を作り、「い、いえ。これに冷凍の唐揚げも足す予定でして」と真面目に答える。
男の子のお母さんが笑って「ごめんなさい、この子おしゃべりで」と頭を下げた。
「いえいえ、全然大丈夫です。むしろ、栄養チェックをしていただいた気分です」
深々と頭を下げるゆる助。
レジに並びながら、ふとカゴの中を見つめてまた小声。
「でも…やっぱりサラダくらいあった方がいいかな…」
レジ横のカット野菜を手に取り、そっと追加した。
帰り道。ビニール袋から覗くにんじんを見て、思わず笑みがこぼれる。
「にんじん、またプリンタに間違って出さないようにしないとな…」
誰もいない道に、ゆる助の独り言が静かに溶けていった。
事務所は定休日。ゆる助は、Tシャツにスウェットというお馴染みの格好で、近所のスーパーへと歩いていた。
「今夜は…カレーでいいかな…いや、シチューもいいな…」
誰もいない道を歩きながら、ポツリポツリと独り言。
けれど、店の入口が見えてくると、表情を引き締めて歩き方も少し丁寧になる。人の前ではきちんと、が彼の習慣だ。
店内に入ると、買い物かごを手に真面目な顔で野菜売り場へ。
「失礼します」
カゴを持ったまま、買い物中の年配の女性に軽く会釈をして横を通る。
その後、にんじん・じゃがいも・玉ねぎをカゴへ入れると、再び独り言が漏れる。
「これで…カレーは形になるな。でも肉どうしようかな…鶏でいいか…」
精肉コーナーで鶏もも肉を手に取り、「よし」とうなずいた瞬間。
横にいた小さな男の子がじっとゆる助のかごを見て、思い切りのいい声を上げた。
「おじさん、それだけで夜ごはんなの?」
「えっ…」一瞬固まるゆる助。
慌てて笑顔を作り、「い、いえ。これに冷凍の唐揚げも足す予定でして」と真面目に答える。
男の子のお母さんが笑って「ごめんなさい、この子おしゃべりで」と頭を下げた。
「いえいえ、全然大丈夫です。むしろ、栄養チェックをしていただいた気分です」
深々と頭を下げるゆる助。
レジに並びながら、ふとカゴの中を見つめてまた小声。
「でも…やっぱりサラダくらいあった方がいいかな…」
レジ横のカット野菜を手に取り、そっと追加した。
帰り道。ビニール袋から覗くにんじんを見て、思わず笑みがこぼれる。
「にんじん、またプリンタに間違って出さないようにしないとな…」
誰もいない道に、ゆる助の独り言が静かに溶けていった。
「プリントの落とし物」
2025年08月18日(月)16時

午後の事務所。
ゆる助は翌日のスケジュール表をパソコンで作成し、プリンタに印刷をかけた。
「よし、これで準備は万全」
プリンタから出てきた紙をまとめて机へ持ち帰り、他の書類と一緒に整理する。
数分後、待機所から女の子がひょっこり顔を出した。
「ゆる助さん、プリンタの上に“にんじん”って書かれた紙が残ってましたよ?」
「えっ?」
驚いてプリンタに駆け寄ると、そこには大きな字で“にんじん”とだけ書かれたA4用紙。
(あぁぁぁ…これ、昨日の買い物メモを試し印刷で出したやつだ…!)
すっかり忘れていたゆる助は、耳まで真っ赤になって紙を回収する。
「す、すみません…完全に私物です…」
「次は“ごぼう”とか“じゃがいも”が出てきたりして」
先輩スタッフが茶化すと、女の子もクスクス。事務所はちょっとした笑いに包まれた。
「まぁ…野菜リストが混ざる分には害はないですけどね」と、ゆる助が小声で言うと、
「いや、配車表に“にんじん様ご指名”とか出てきたら困りますよ!」と先輩。
またしても笑い声が広がった。
その日の終業後。
ゆる助が机に戻ると、プリント済みの書類の山の端にホチキスで留められた紙を発見。
そこには“にんじん・玉ねぎ・じゃがいも”と書かれていた。
「…完全にカレーリストですね…」
苦笑いするゆる助。
机の引き出しにその紙をそっとしまいながら、明日はスーパーに寄って帰ろうと心に決めた。
ゆる助は翌日のスケジュール表をパソコンで作成し、プリンタに印刷をかけた。
「よし、これで準備は万全」
プリンタから出てきた紙をまとめて机へ持ち帰り、他の書類と一緒に整理する。
数分後、待機所から女の子がひょっこり顔を出した。
「ゆる助さん、プリンタの上に“にんじん”って書かれた紙が残ってましたよ?」
「えっ?」
驚いてプリンタに駆け寄ると、そこには大きな字で“にんじん”とだけ書かれたA4用紙。
(あぁぁぁ…これ、昨日の買い物メモを試し印刷で出したやつだ…!)
すっかり忘れていたゆる助は、耳まで真っ赤になって紙を回収する。
「す、すみません…完全に私物です…」
「次は“ごぼう”とか“じゃがいも”が出てきたりして」
先輩スタッフが茶化すと、女の子もクスクス。事務所はちょっとした笑いに包まれた。
「まぁ…野菜リストが混ざる分には害はないですけどね」と、ゆる助が小声で言うと、
「いや、配車表に“にんじん様ご指名”とか出てきたら困りますよ!」と先輩。
またしても笑い声が広がった。
その日の終業後。
ゆる助が机に戻ると、プリント済みの書類の山の端にホチキスで留められた紙を発見。
そこには“にんじん・玉ねぎ・じゃがいも”と書かれていた。
「…完全にカレーリストですね…」
苦笑いするゆる助。
机の引き出しにその紙をそっとしまいながら、明日はスーパーに寄って帰ろうと心に決めた。
「お茶のおかわり」
2025年08月17日(日)14時

午後の静かな時間。
待機所でスマホをいじっていた女の子が、ふと事務所に顔を出した。
「ゆる助さん、お茶もう一杯いただけますか?」
「もちろんです。少々お待ちください」
ゆる助はすぐに湯呑を手に取り、お茶を注ぎに立ち上がる。
しかし戻ってきた彼の手には――なぜか湯呑ではなく、自分のコーヒーカップ。
「あれ?」
差し出されたカップを見て、女の子が笑う。
「これ、ゆる助さんのじゃないですか?」
自分の顔を見て、手元を見て、ようやく気づくゆる助。
「…すみません、完全に僕の“おかわり”を用意してしまいました」
耳を赤くして頭を下げる。
結局、お茶を入れ直して渡したあと、女の子がひと言。
「でも、こういうの見てると安心しますね」
「そうですか? 僕はただのおっちょこちょいなんですけど…」
照れ笑いするゆる助に、事務所全体が少し柔らかい空気になった。
待機所でスマホをいじっていた女の子が、ふと事務所に顔を出した。
「ゆる助さん、お茶もう一杯いただけますか?」
「もちろんです。少々お待ちください」
ゆる助はすぐに湯呑を手に取り、お茶を注ぎに立ち上がる。
しかし戻ってきた彼の手には――なぜか湯呑ではなく、自分のコーヒーカップ。
「あれ?」
差し出されたカップを見て、女の子が笑う。
「これ、ゆる助さんのじゃないですか?」
自分の顔を見て、手元を見て、ようやく気づくゆる助。
「…すみません、完全に僕の“おかわり”を用意してしまいました」
耳を赤くして頭を下げる。
結局、お茶を入れ直して渡したあと、女の子がひと言。
「でも、こういうの見てると安心しますね」
「そうですか? 僕はただのおっちょこちょいなんですけど…」
照れ笑いするゆる助に、事務所全体が少し柔らかい空気になった。
久々更新!バナンザ・ボナンザ!
2025年08月16日(土)09時

いつも見ていただきまして
誠にありがとうございます
久々すぎる
ブログ更新になります。
ヒップス春日部店
【小さい人】です(^^♪
皆様!
夏の暑さを乗り切る方法は
人それぞれかと思いますが
どのような対策をされてますか?
私、小さい人
ただ一つ!
【我慢】の一言!
ご安心ください!
在籍されている女性には
しっかりと空調の聞いた待機場!
簡単なものになってしまいますが
冷間グッズもご用意しておりますm(_ _"m)
そりゃそうですよね!
僕達スタッフは
涼しいお部屋で座ってるだけなので
少しでも
ほんの少しでも
快適に過ごしていただけるように
整備しております。
些細なことしかできませんが
貴女様のお力になれるよう
日々!奮闘しておりますm(_ _"m)
誠にありがとうございます
久々すぎる
ブログ更新になります。
ヒップス春日部店
【小さい人】です(^^♪
皆様!
夏の暑さを乗り切る方法は
人それぞれかと思いますが
どのような対策をされてますか?
私、小さい人
ただ一つ!
【我慢】の一言!
ご安心ください!
在籍されている女性には
しっかりと空調の聞いた待機場!
簡単なものになってしまいますが
冷間グッズもご用意しておりますm(_ _"m)
そりゃそうですよね!
僕達スタッフは
涼しいお部屋で座ってるだけなので
少しでも
ほんの少しでも
快適に過ごしていただけるように
整備しております。
些細なことしかできませんが
貴女様のお力になれるよう
日々!奮闘しておりますm(_ _"m)
『マスクの行方』
2025年08月13日(水)16時

午前10時過ぎ。
事務所の窓から差し込む光が、カウンターの木目をやわらかく照らしている。
ゆる助はパソコンで前日の記録を整理していた。キーボードをゆっくり、確実に打つのが彼の流儀だ。
「今日も穏やかですね」なんて心の中でつぶやきながらコーヒーを一口。
そのとき、ふと視界の端に白いものが映った。机の上に、ぽつんと置かれたマスク。
(誰の忘れ物だろう…)
念のため、すぐ近くの待機所に顔を出す。
「すみません、このマスク…どなたかのですか?」
すると奥の席にいた女の子が手を上げ、「あ、それ、私の…あれ?」と不思議そうに近づいてきた。
「でも…これ、ゆる助さんのじゃないですか?」
「え?」
一瞬何を言われているのかわからず、耳を触ってみる。――何もつけていない。
そういえばさっきコーヒーを飲むとき、外して机に置いた…それっきり忘れていたらしい。
「危ないですよ〜、誰かが持ってっちゃったら」
「いやぁ…“落とし物センター”が設立されるところでしたね」
控えめに笑いをとろうとするゆる助だが、耳はほんのり赤くなっている。
女の子は笑いながらマスクを彼に返し、事務所は一瞬だけ、いつもより温かい空気に包まれた。
そしてゆる助は、机に座り直し、今度はマスクを外したら絶対すぐ耳に戻そうと心に決めた――その10分後、コーヒーのおかわりを淹れに行く彼の机の上には、また同じ白いマスクがぽつんと置かれていた。
事務所の窓から差し込む光が、カウンターの木目をやわらかく照らしている。
ゆる助はパソコンで前日の記録を整理していた。キーボードをゆっくり、確実に打つのが彼の流儀だ。
「今日も穏やかですね」なんて心の中でつぶやきながらコーヒーを一口。
そのとき、ふと視界の端に白いものが映った。机の上に、ぽつんと置かれたマスク。
(誰の忘れ物だろう…)
念のため、すぐ近くの待機所に顔を出す。
「すみません、このマスク…どなたかのですか?」
すると奥の席にいた女の子が手を上げ、「あ、それ、私の…あれ?」と不思議そうに近づいてきた。
「でも…これ、ゆる助さんのじゃないですか?」
「え?」
一瞬何を言われているのかわからず、耳を触ってみる。――何もつけていない。
そういえばさっきコーヒーを飲むとき、外して机に置いた…それっきり忘れていたらしい。
「危ないですよ〜、誰かが持ってっちゃったら」
「いやぁ…“落とし物センター”が設立されるところでしたね」
控えめに笑いをとろうとするゆる助だが、耳はほんのり赤くなっている。
女の子は笑いながらマスクを彼に返し、事務所は一瞬だけ、いつもより温かい空気に包まれた。
そしてゆる助は、机に座り直し、今度はマスクを外したら絶対すぐ耳に戻そうと心に決めた――その10分後、コーヒーのおかわりを淹れに行く彼の机の上には、また同じ白いマスクがぽつんと置かれていた。
『お釣りパニック』
2025年08月12日(火)13時

僕はまだお店に入って間もない。
受付の仕事も少しずつ慣れてきたけど、数字に関することはやっぱり緊張する。
その日の夜、常連のお客様から電話予約が入った。
料金の案内まではスムーズだったのに、最後の「合計金額の確認」でなぜか僕の頭がフリーズした。
「えっと…割引を引いて、交通費を足して…あれ? さっきいくらって言ったっけ…」
メモを見ても、数字がなぜかぐにゃっとして見える。
お客様は電話口で落ち着いた声で「大丈夫ですよ、ゆっくりで」と言ってくれるけど、
その“優しい余裕”が逆にプレッシャーになる。
「落ち着け僕、ただの足し算と引き算だ…」と自分に言い聞かせながらも、
なぜか計算が一周して元に戻るループ。
そこへ奥の事務机から上司が顔を上げた。
「ゆる助、どうした?」
「すみません、合計が…」
上司は僕のメモをチラッと見ただけで、
「それ、○○円ね」と即答。
僕は慌てて復唱して、お客様に金額を伝える。
電話を切ったあと、上司は笑いながら言った。
「慣れると数字は勝手に頭に入るよ。まぁ今日はいい経験だな」
僕は「はい…」と返事しつつ、
心の中で「明日は一発で計算決めるぞ」と拳を握った。
受付の仕事も少しずつ慣れてきたけど、数字に関することはやっぱり緊張する。
その日の夜、常連のお客様から電話予約が入った。
料金の案内まではスムーズだったのに、最後の「合計金額の確認」でなぜか僕の頭がフリーズした。
「えっと…割引を引いて、交通費を足して…あれ? さっきいくらって言ったっけ…」
メモを見ても、数字がなぜかぐにゃっとして見える。
お客様は電話口で落ち着いた声で「大丈夫ですよ、ゆっくりで」と言ってくれるけど、
その“優しい余裕”が逆にプレッシャーになる。
「落ち着け僕、ただの足し算と引き算だ…」と自分に言い聞かせながらも、
なぜか計算が一周して元に戻るループ。
そこへ奥の事務机から上司が顔を上げた。
「ゆる助、どうした?」
「すみません、合計が…」
上司は僕のメモをチラッと見ただけで、
「それ、○○円ね」と即答。
僕は慌てて復唱して、お客様に金額を伝える。
電話を切ったあと、上司は笑いながら言った。
「慣れると数字は勝手に頭に入るよ。まぁ今日はいい経験だな」
僕は「はい…」と返事しつつ、
心の中で「明日は一発で計算決めるぞ」と拳を握った。
『電話メモの悲劇』
2025年08月11日(月)15時

僕はまだ入社して間もない。
だから、仕事中はとにかく「間違えないこと」が最優先。
今日はたまたま事務所でひとり。
先輩たちは系列店の応援で、お店の電話は僕が全部取ることになった。
最初は緊張で手汗が止まらなかったけど、何本か受けているうちに少し慣れてきた。
「はい、〇〇店です!」と、なるべく明るく出るように心がける。
もうすぐ先輩たちも帰ってくる時間、
そんな中、一本の電話。
お客様から予約の依頼だ。
「じゃあ〇〇さんで、19時半からお願いします」
僕は聞き逃さないよう、受話器を肩に挟みながらペンを走らせる。
「えーっと…19時半…〇〇さん…」
そこまで書いたとき、ふと頭の中に昨夜の友達との会話がよぎった。
「ブロッコリーはビタミン豊富で…」という内容。
その瞬間、メモ用紙にスッと書かれた文字は――
「19:30 ブロッコリー」
……なんでだ。
お客様、絶対そんなこと言ってなかった。
気付いたときにはもう電話は終わっていて、受話器を置いた僕はメモを凝視する。
「……これ、先輩にどう説明しよう」
ちょうどその時、先輩が帰ってきた。
「どうー?予約入ったー?」
「はい、えっと……こちらです」
しぶしぶメモを差し出すと、先輩は一瞬固まり、次の瞬間ニヤッとして、
「ブロッコリーはサービスで付けとく?」
と軽口を叩いてきた。
僕は慌てて訂正しながら、
「いや、これは違くて……」
と弁明するけど、先輩は肩を震わせながら、
「いや〜、お客さんも健康志向で助かるなあ」
と笑い続ける。
……たぶん、このネタ、全員に言われるやつだ。
だから、仕事中はとにかく「間違えないこと」が最優先。
今日はたまたま事務所でひとり。
先輩たちは系列店の応援で、お店の電話は僕が全部取ることになった。
最初は緊張で手汗が止まらなかったけど、何本か受けているうちに少し慣れてきた。
「はい、〇〇店です!」と、なるべく明るく出るように心がける。
もうすぐ先輩たちも帰ってくる時間、
そんな中、一本の電話。
お客様から予約の依頼だ。
「じゃあ〇〇さんで、19時半からお願いします」
僕は聞き逃さないよう、受話器を肩に挟みながらペンを走らせる。
「えーっと…19時半…〇〇さん…」
そこまで書いたとき、ふと頭の中に昨夜の友達との会話がよぎった。
「ブロッコリーはビタミン豊富で…」という内容。
その瞬間、メモ用紙にスッと書かれた文字は――
「19:30 ブロッコリー」
……なんでだ。
お客様、絶対そんなこと言ってなかった。
気付いたときにはもう電話は終わっていて、受話器を置いた僕はメモを凝視する。
「……これ、先輩にどう説明しよう」
ちょうどその時、先輩が帰ってきた。
「どうー?予約入ったー?」
「はい、えっと……こちらです」
しぶしぶメモを差し出すと、先輩は一瞬固まり、次の瞬間ニヤッとして、
「ブロッコリーはサービスで付けとく?」
と軽口を叩いてきた。
僕は慌てて訂正しながら、
「いや、これは違くて……」
と弁明するけど、先輩は肩を震わせながら、
「いや〜、お客さんも健康志向で助かるなあ」
と笑い続ける。
……たぶん、このネタ、全員に言われるやつだ。
「業務メモ、見ました?」
2025年08月08日(金)19時

午前11時すぎ。
出先から事務所に戻ると、ちょっとした静けさがあった。
パソコンのファンの音と、給湯室から聞こえるケトルの湯沸かし音だけが場を支配していて、妙に落ち着く。
僕がデスクにバッグを置いた瞬間、奥の席から声が飛んできた。
「ゆる助くん、業務メモ……見ました?」
上司だった。
こっちはコーヒーでも淹れようかと思ってた矢先だったので、ちょっとドキッとする。
「え? あっ……はい。えっと……たぶん、見ましたよ?」
口ではそう言いながら、脳内では記憶をぐるぐる巻き戻していた。
朝、出勤してロッカー開けて、スマホいじって、それから……あ、そうだ。メモ帳は確かに開いた。でも、電話鳴って中断したんだった。
「あの"件"も、把握済みってことでいい?」
さっきよりも少し重低音でそう言われ、僕は思わず背筋を伸ばす。
「……あの“件”?……すみません、やっぱり、見てません……」
上司はふっと笑って、腕を組んだ。
「だろうね。見てたら、ニヤニヤしながら出勤してくるはずなんだよ」
そんなにヤバい内容だったのかと身構えると、
実はその業務メモには、こんな一文があったらしい。
『本日のやる気スイッチの位置:背中の右肩甲骨あたり(要マッサージ)』
『このスイッチを押せば、今日の稼働が+20%になる予定』
……なんていうか、業務なのか、健康診断のカルテなのか分からない。
僕は苦笑いしながら、「それ、業務メモっすか?」と問い返すと、上司は言った。
「心の業務も大事だよ。最近ちょっとピリついてたしね」
……うん。
思い当たるフシ、なくはない。
締切の多い週だったし、同業者への対応も立て込み気味だった。
知らず知らずのうちに、眉間に力が入ってたのかもしれない。
帰り際、業務メモの下の欄に、僕はそっと書き足した。
『上司のやる気スイッチ、明日は左肩側希望(右だと届かないので)』
次の日、そこにはしっかりとこう返事があった。
『押してくれる人、募集中(ご褒美あり)』
……その「ご褒美」、缶コーヒーだったけどね。
上司、ほんとブレない人だ。
出先から事務所に戻ると、ちょっとした静けさがあった。
パソコンのファンの音と、給湯室から聞こえるケトルの湯沸かし音だけが場を支配していて、妙に落ち着く。
僕がデスクにバッグを置いた瞬間、奥の席から声が飛んできた。
「ゆる助くん、業務メモ……見ました?」
上司だった。
こっちはコーヒーでも淹れようかと思ってた矢先だったので、ちょっとドキッとする。
「え? あっ……はい。えっと……たぶん、見ましたよ?」
口ではそう言いながら、脳内では記憶をぐるぐる巻き戻していた。
朝、出勤してロッカー開けて、スマホいじって、それから……あ、そうだ。メモ帳は確かに開いた。でも、電話鳴って中断したんだった。
「あの"件"も、把握済みってことでいい?」
さっきよりも少し重低音でそう言われ、僕は思わず背筋を伸ばす。
「……あの“件”?……すみません、やっぱり、見てません……」
上司はふっと笑って、腕を組んだ。
「だろうね。見てたら、ニヤニヤしながら出勤してくるはずなんだよ」
そんなにヤバい内容だったのかと身構えると、
実はその業務メモには、こんな一文があったらしい。
『本日のやる気スイッチの位置:背中の右肩甲骨あたり(要マッサージ)』
『このスイッチを押せば、今日の稼働が+20%になる予定』
……なんていうか、業務なのか、健康診断のカルテなのか分からない。
僕は苦笑いしながら、「それ、業務メモっすか?」と問い返すと、上司は言った。
「心の業務も大事だよ。最近ちょっとピリついてたしね」
……うん。
思い当たるフシ、なくはない。
締切の多い週だったし、同業者への対応も立て込み気味だった。
知らず知らずのうちに、眉間に力が入ってたのかもしれない。
帰り際、業務メモの下の欄に、僕はそっと書き足した。
『上司のやる気スイッチ、明日は左肩側希望(右だと届かないので)』
次の日、そこにはしっかりとこう返事があった。
『押してくれる人、募集中(ご褒美あり)』
……その「ご褒美」、缶コーヒーだったけどね。
上司、ほんとブレない人だ。